Resorttrust Rescuiting

料理長インタビュー
#SPECIAL 14

リゾートトラストのイタリア料理レストラン 
料理長、野口将義さん。
料理人は、調理師学校を経るのが一般的ですが、
野口さんは大学卒業後に専門知識を持たずして
料理の世界に飛び込んだという異例の経歴。
現在は、本場イタリアで10年にわたり培った技術と経験を礎に、
リゾートトラストのメインダイニングを率いています。
今回は、野口料理長のキャリアとともに、
リゾートトラストで料理人として働く面白さや、
華やかなホテルで提供する料理だからこそ
大切にしていることなどを伺いました。

profile
サンクチュアリコート琵琶湖
洋食料理長
野口将義さん

2003年、大学卒業後に大阪のイタリア料理レストランにて料理人のキャリアをスタート。2008年にイタリアへ渡り、6つのミシュランレストランで10年間研鑽を積む。帰国後、2018年にリゾートトラストに中途入社。ラグーナベイコート開業準備室での勤務を経て、2019年にラグーナベイコート倶楽部ホテル&スパリゾート メインダイニングの料理長に就任。2024年4月よりサンクチュアリコート琵琶湖の料理長を務める。

目の前の誰かの笑顔を見たい。
不採用も覚悟で挑んだ、
料理人への道
目の前の誰かの笑顔を見たい。不採用も覚悟で挑んだ、料理人への道 | 野口将義さん
そもそも、なぜ野口料理長は料理の世界を目指したのですか?

学生時代にいろいろなアルバイトをした中でも、私が特に印象的だったのはオープンキッチン形式の飲食店での職務経験でした。それを機に、形は何であれ、将来は目の前のお客さまに何かを作って、直接お喜びの声を聞けたり、笑顔が見られたりする仕事がしたいなと強く思ったんです。私にとってそれが実現できるのは料理人だなと考えました。失敗やごまかしが許されない分、お客さまの目の前で最高の料理をつくるのは難しいことでもありますが、私は何か得意なことを極めたいというよりは、難しいことに挑戦したいというタイプ。目の前の人を料理で喜ばせたら非常にやりがいがあるだろうなと感じました。就職活動がスタートした大学3年生、善は急げとシェフとして働かせてくれる場所を探しましたが、調理師学校を卒業していないがゆえに就職は難航。右も左もわからない状態で、「給料はいらないから、ここで働かせてください」と飛び込んだ大阪のレストランから私の料理人としてのキャリアが始まりました。

料理の世界は、調理師学校を経るのが
一般的かと思いますが、大学卒業後にと
いうのは、異例のキャリアだったのでは?

私の世代では珍しかったと思います。正直、「もう遅いのではないか」「できるわけない」という考えも頭にありました。しかし、今振り返れば、「それだったらもう人の何倍もやるしかない」という危機感が成長につながったのだと思います。

突然飛び込んだ料理の世界。その中で
イタリア料理を選んだ理由は?

料理人を目指した当初は、イタリア料理かフレンチか和食か、ジャンルはまだ決めきれていませんでした。そこで各国の料理を食事するシーンを考えたんです。イタリア料理は、仲間で集まってわいわいと楽しく食事をするイメージがありませんか?そんな明るい食事の雰囲気にどこか惹かれたような気がします。

ラグーナベイコート倶楽部
イタリアで現地の食や
文化に触れなければ、
真のイタリア料理を
知ることはできない
イタリアで現地の食や文化に触れなければ、真のイタリア料理を知ることはできない

最初に就職した大阪のレストランで、「イタリア料理を専門的にやっていくのであれば、本場の生活や文化も含めてイタリア料理を知った方がいい」と毎日アドバイスをくれる先輩がいたんです。「そうだよな」と思いつつ、実際にイタリアに行くことを決めたのは、就職から5年が経とうとしていた頃。私は普段から、休日に有名なイタリア料理のお店に足を運んでいました。そのうちに「このお店美味しいな」と、自分なりの基準ですが、味がわかってくるようになったんです。何が違うのかをいろいろ考えると、「美味しい」と思える料理は、イタリアで修行経験があるシェフが作っていることが多いことに気が付きました。例えば、日本でいうと味噌汁に近い、豆を使ったイタリアの郷土料理のスープがありますが、とても素朴な味なのに、シェフの腕によって格段に味に違いが出るんです。これは絶対にイタリアに行かないといけない。そう決心しましたね。

異例のキャリアの中で料理人になる夢を叶え、その5年後に今度はイタリアへ。すごい行動力ですね。

毎日のようにイタリアに行くことを勧めてくれていた先輩のおかげもあって、迷いはありませんでした。イタリアでは、北部、南部、中部といろいろな地方へ行き、計6つのレストランでそれぞれ最低1年間は身を置き、各地の郷土料理を学びました。一言に「イタリア料理」といっても、ミラノやナポリなど、その土地によって料理はまるで異なります。イタリア人は、自分の住んでいる地域の料理に心から誇りを持っている人が多い印象があります。実際に現地に住んで、そこにある食材で料理を作って食べることで、イタリア人の生き方が息づく本場の料理を学びました。

野口将義さん
イタリアからの帰国。
そして、
リゾートトラストとの出会い
メニュー写真
イタリアで過ごした10年を経て、なぜリゾートトラストへ入社したのですか?

リゾートトラストの評判は、イタリア在住時から耳にしていました。その頃、イタリアで日本人妻と結婚して子どもを授かったタイミングで、家族で日本へ帰国することを決意。その後、私と同じく海外で学んだ経験を持ちながらリゾートトラストで働く方とお話しをする機会があったのです。話を聞いて感じたのは、リゾートトラストはお客さまを一番大事にするということ。またお客さまだけでなく、社員やその家族も大切にする企業文化があることがわかりました。

また、リゾートトラストは、「ハイセンス・ハイクオリティ」「エクセレントホスピタリティ」を追求するホテルです。そんな最高の環境で、お客さまに本場さながらの料理をご提供し、感動を届ける ことを料理人としての使命にできる。ここでならイタリアで学んだ自分の経験を100%引き出して、自信を持って仕事ができると思ったんです。料理人として生きながら、家族も大切にしたいという私の仕事観がマッチしたのが、リゾートトラストでした。

スタッフを大切にすることと料理とは、どのようなつながりがあるのでしょうか?

料理の職場は、人があってこそだと思っています。お客さまに本物の料理を提供し、喜んでいただくことが大切。そこで必要なのは、良いものを提供する良いスタッフです。良いものを提供し、良いお客さまが集まるリゾートトラストには、きっと素晴らしい想いを持った仲間が集まっているのだと魅力を感じ、入社を決めました。

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料理を通して驚きと
感動をお届けすることに
夢中になる
ホテル&スパリゾート メインダイニング「MAROCE」

私たちリゾートトラストの料理人が最も大切にしていることは、お客さまに「美味しい」と喜んでいただき、リゾートトラストでの時間や体験に感動していただくこと。当たり前のことですが、そのサービスを提供することを徹底しています。通常のサービスはもちろんですが、会員制ホテルとして特別なおもてなしで歓んでいただきたい。例えば、お客さまとのお話しの中で事前にお好みの食材を伺っておいて、サプライズとしてその食材を使った料理を提供したり、お車好きのお客さまにはお好きな車種のデザインアートを施したコーヒーをお出ししたり。お客さまの驚かれるお顔や思わずほころぶお顔を見ると、私も嬉しくなりますね。

特別なおもてなしには、どのような想いを込めていらっしゃるんでしょうか?

私たちの仕事は、料理をつくって終わりではありません。接遇を通してその料理の魅力をお客さまにお伝えすることで、お客さまにとっての料理の価値が上がれば、リゾートトラストでの体験が特別な時間になると考えています。お客さま一人ひとりのお好みや経験に合わせて、その瞬間にしかできない特別なおもてなしをご提供することで、驚きと感動をお届けしたい。私が料理に込めるのは、その一心です。

自分がつくりたい料理ではなく、お客さまが一番喜ばれる料理をつくる。

これがイタリア料理なんですよ、という感覚で一方的につくる料理は、ただの自己満足になってしまいます。自分がつくりたい料理をお出しすることや技術にこだわることももちろん大切ですが、そこに固執してはいけない。召し上がるお客さまがどう感じるかを一番に考えて、お客さまに伝えたい想いを料理に込めることが大切だと思っています。リゾートトラストのレストランであの料理を食べたいと、お客さまの旅の目的地になるようなホテルを目指して、これからも腕を振るいます。

野口将義さん