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「料理で誰かを
喜ばせたい」
という変わらない想い
子どもの頃、将来の夢は何かと問われたら、私は迷わず「コックになる」と答えていました。料理が好き。料理を仕事にする。それは幼い頃から変わらない、私の人生の指針でした。
料理を始めたのは小学校低学年の頃。もともと食べるのが好きだった私は、ある時「おいしい料理を自分でも作りたい」と思い立ち、夕飯の支度を手伝うようになりました。幼心には、包丁を握って野菜や肉を切り出していくのがとても楽しく、なにより、出来上がった料理を家族が「おいしい、おいしい」と嬉しそうに食べる様子を見るのが大好きでした。夕飯づくりは私の日課となり、放課後は友達と遊ぶよりも、「早く祖母と一緒に夕飯を作りたい!」と家路を急いだ思い出があります。
いつからか夕飯を一人で作るようになり、本格的に料理人の道を目指すことになりました。中学校時代はサッカーに打ち込んでいましたが、土日は必ず台所に立ち料理を研究しました。チームの仲間たちが進路に悩んでいる中、「高校で学生生活を楽しんだら、専門学校で調理師免許を取るんだ」と将来の夢を叶えることだけを考えていました。
専門学校卒業後は、地元石川県のホテルに就職。料理人としての基礎を鍛えられ、尊敬する先輩にも出会えましたが、一方で「関東で仕事がしたい」という思いもありました。地元を離れる勇気が出ず足踏みしていたところ、憧れの先輩がリゾートトラストへ転職することに。この機を逃がしてはいけないと、思い切って「一緒に連れて行ってください!」と願い出ました。
お客さまとともに
「最高の一皿」を極める場所
リゾートトラストに入社してからは、全てが「非日常」。王室のような煌びやかな空間で、ほかのホテルや厨房では扱えないような高級食材を使った料理を提供するという、ほかでは体験できない極上のラグジュアリーに圧倒されました。お客さまも舌が肥えていて、常により洗練された料理を求めていらっしゃいます。「前回は5万円のコースを食べたから、今回は100万円のコースが食べてみたい」とオリジナルのコースをオーダーされた時もありました。あまりのことに私は思わず目を丸くしてしまいましたが、料理長は毅然とした態度で、お客さまの期待を越える料理をプロとして見事につくり上げました。お客さまは料理長の腕を信頼し、料理長は期待以上の料理でお客さまの信頼に応える。お客さまとともに「非日常」を共有しながら、料理の髄を極め合っているような感覚がありました。
また、リゾートトラストには、会員制ならではの温かさもあります。お客さまにとって、リゾートトラストは第二の家のような場所。お出迎えする私たちにとっても、お客さまは家族のような存在です。職場に家族が訪れた時にはついついサービスしたくなってしまうように、お客さまにも「お食事」に留まらない歓びと感動をお届けしたいという思いがあります。直接お客さまと顔を合わせる機会は少ないながらも、「お客さまにより楽しんでいただくために何ができるか」を常に考えています。
お客さまの喜ぶ姿を想い、
一つひとつの料理に愛を込める
私は料理人としてはまだまだ駆け出しです。厨房では具材の発注や切り出し、盛り付けを担当しています。「食べることは『いのち』をいただくこと。『いのち』に対して最善を尽くすために、フードロスは出してはならない」というのが料理長の信念。野菜を切る時も無駄が出ないように細心の注意を払っています。
一番大切にしているのは、一つひとつの料理に愛情をかけること。具材の大きさ一つで料理の印象は変わります。肉の大きさをそろえるために丁寧に切り出したり、料理に合わせてお皿の温度を調整したり、どんな些細なことにも愛情をもって取り組むようにしています。「お客さまに喜んでいただきたい」というスタッフ全員の想いがこもった料理をお客さまがおいしそうに召し上がってくださるととても嬉しいです。
厨房のスタッフは皆仲が良く、先輩後輩の上下関係がありつつも気の置けない関係です。料理長は厨房のスタッフを家族のように想い、時に厳しく、愛をもって私たちを指導してくださいます。料理長からの言葉はどれも、将来料理人として生きていくうえで重要なものばかり。「料理を通してお客さまに最上級のラグジュアリーな体験を提供する」というリゾートトラストでの経験が、料理人として自分を大きく成長させてくれていると思います。これからも、煌びやかな「非日常」を担う料理人の一人として、腕を磨いていきたいです。
どんな料理でも、
お客さまにとって
最高の一品を作る
最高の一品を作る
「中国料理 眺遊楼」で提供する炒飯や麻婆豆腐といった王道の中国料理は、親しみやすいがゆえに「日常」の枠内に収まってしまいがちです。私が目指すのは、そうした日常的に食べる料理を完璧に作り、お客さまに感動を与えるような料理人です。どんな料理にも一つひとつ真剣に向き合い、お客さまに「今まで食べた中で一番おいしい!」と思っていただける料理を作れるように、これからも研さんを積んでいきます。